CHAPTER 8
8

【2017 - 2021】
平成29 - 令和3

多様化・複雑化する福祉サービスにシナジーを発揮

第1節 : 第五期中期経営計画「2022年計画」

第五期中期経営計画を策定し推進

2010年代半ばから、介護保険制度や年金・医療制度の改革、介護報酬改定、社会福祉法の改正、子ども・子育て支援新制度への移行など、社会福祉法人改革が進められていた。2016(平成28)年には全国の老人福祉・介護事業者の倒産件数が過去最多の108件を記録するなど、厳しい時流の波を乗り越える方針として、聖徳会は第五期中期経営計画「2022年計画」を策定する。そのなかで、2022(令和4)年に迎える創立120周年はさらなる発展への大きなターニングポイントになる、と位置付けていた。
その明確な経営姿勢は、2025年に向けた地域包括支援体制の推進、介護型・支援型・自立型の多様な機能の新拠点整備への宣言となっていく。「2022年計画」では3つの基本方針を定め、各方針の重点目標も具体的に明文化した。法人一丸となって取り組む5つの重点施策も明示し、組織統治(ガバナンス)の確立も進めていった。

第五期中期経営計画書「2022年計画」基本方針と重点目標

ほのぼのNEXTを活用して記録を効率的に

また、2014年の介護保険制度改正により創設された「新しい総合事業」が、松原市で2017年4月から始まったことを受け「デイサービスセンターうえだ・デイサービスセンター田坐・まつばらヘルパーステーション」の3事業所で実施した。 2020(令和2)年には各介護保険事業所に、ケア記録や介護報酬請求処理の効率化、省力化を推進するソフトウェア「ほのぼのNEXT」を導入。DX時代を迎え介護福祉の現場で進むICT化にも適応していった。

第2節 : 社会課題と高齢者ニーズの解決の受け皿

高齢者の入所・通所・相談・訪問の担い手として

多様な価値観を持つ団塊の世代が2025(令和7)年に後期高齢者となり「新しい高齢者像」が出現することに伴い、聖徳会の高齢者事業は、入所・通所・相談・訪問の各事業部門で様々な取り組みを推進していく。

入所部門では、 松原市東北エリアに新たな地域包括ケア拠点が誕生する。2018(平成30)年4月、松原市から公募選定を受け認知症対応型共同生活介護(グループホーム)「フィレールまつばら」、小規模多機能型居宅介護「リアンまつばら」を相次いで開設し、地域密着型サービス事業の新規事業がスタートする。「大阪老人ホーム」を中核とする既存事業所とともに、24時間・365日稼働する総合的な活用・運営の中核拠点施設としての機能を充実させていく。
2014年の介護保険制度改正により、特別養護老人ホームの入所要件は要介護3以上に限定見直しされた。要介護度1・2と認定された高齢者の住まいを確保し、地域包括ケアシステムの一助となる事業展開が不可欠となっていた。また、2016年の社会福祉法改正では、社会福祉法人の「経営の原則」として無料・低額な福祉サービスを提供する責務が定められた。新たに誕生した両施設は、こうした社会課題と高齢者ニーズの解決の受け皿となっていった。

通所部門は、予防給付の訪問介護・通所介護が2017年度から市町村の地域支援事業へ移行することに伴い、通所介護の機能(①認知症対応機能、②重度者対応機能、③心身機能訓練から生活動作向上訓練まで総合的に行う機能)などの専門性を効果的に活かす人員配置、各事業所の特色付けや新たな総合事業への積極的な関与をする通所介護事業所の体制整備などを進めていった。また、地域密着型指定認知症対応型通所介護「まつばらデイサービスセンターレユーナの家」は、2018年4月から移転して「まつばら駅前デイサービスセンターおおぞら」に併設し、運営の効率化も図った。

リアンまつばらでのお花見

縁日などのイベントも開催

高齢者相談では、全世代が住み慣れた町で最後まで暮らすことができる「新しい地域包括支援体制」づくりが社会福祉法人の責務とされるなか、松原市から受託する「総合相談窓口(ブランチ)」を通して、地域の福祉・介護相談の窓口として主に在宅介護に関する相談を受け、必要な支援を提供。2017年には松原市から「認知症初期集中支援チーム」「生活支援体制整備事業(地域支え合い推進員)」を受託。社会貢献事業である「大阪しあわせネットワーク事業」の窓口、南河内ブロックの社会貢献支援員の受け入れ機関としての機能も果たしていく。
介護保険制度施行時に大阪府下登録第1号として開設した「まつばらケアプランセンター」は介護支援専門員の体制を拡充し、「ケアプランセンターうえだ」の2事業所とも主任介護支援専門員を配置。新たな事業エリアの開拓も進め、松原市内西北エリアに2021年2月、「ケプランセンターあまみ」を開設した。

訪問事業では、介護福祉士の有資格者が過半数を占める「まつばらヘルパーステーション」で、家事が難しくなった在宅高齢者の生活を支える適切な支援を実施した。
2017年4月から始まった 「新しい総合事業」では、「健康スタジオまつばら」で介護予防活動を通じて地域住民の総合相談に応じられる体制を整えていく。2020年4月には、通所型サービスAの「健康サークルまつばら」を「まつばらケアプランセンター」の1階に開設し、要支援高齢者などに機器を利用した運動や体操を提供している。

自宅訪問を行うケアプランセンターあまみの職員

家族への説明も丁寧に

第3節 : 地域に選ばれる「オンリーワン保育園」に向けて

安定運営が続く子育て支援事業で独創性のあるオンリーワンの存在に

子育て支援部門の保育事業は、3保育園と地域子育て支援センター1ヶ所の体制で安定した運営を続け、さらに事業所別の独立採算化を目指していく。
2015(平成27)年4月の 「子ども・子育て支援新制度」移行に伴い、少子化時代にも選ばれる事業所となるための計画的な準備と体制の整備を推進。家庭や地域における子育て力の低下が社会問題化していくなかで、様々なニーズを持つ子ども・保護者に応えられる運営に力を注いでいく。その判断基準として「まつばら駅前おおぞら保育園」の第三者評価結果をベースに、三園協働で課題を改善する取り組みを実施。就学前教育カリキュラムやマニュアル作成、保育実践のPDCAサイクルの確立などにより、保育スキルの標準化を進めた。

また、3園のすべてにスマイルサポーター(地域貢献支援員)を配置し、在園中の子ども・保護者に加え、地域からの相談も受け入れる体制づくりを推進。2016年度には「保育対策総合支援事業」を活用し、保育業務支援システムを導入。園児台帳のデータ化や登降園システムの活用、複数の情報の一元管理など、保育士業務を省力化する新システムを有効活用している。

子育てが難しいと言われる時代に、「保育」に留まらず、より広く深い意味の「子育て」を支援するために3園が連携できる体制を強化しながら、各園の独創性も積み上げ、事業所別の独立採算化と地域に選ばれる「オンリーワン保育園」を目指していった。

第4節 : 訪問リハビリテーション事業

包括ケアの一翼を担う訪問リハビリテーション

医療部門は、岩田記念診療所を廃止し機能を一本化した「クリニックいわた」が無料低額診療の系譜を継承していた。地域の住民、特に生活困窮者を中心とした医療機能の拡充を進め、さらに入所者や地域住民の健康管理、急増が予測される認知症対策にも積極的に関与。医師・看護師の専門職以外に、相談担当の事務職員の充実、健康・医療分野におけるデジタル化も進めていった。2018(平成30)年からは、他法人の高齢者施設や障がい者施設への訪問診療も開始する。
地域包括ケア体制を担う重要な位置付けとなる「訪問リハビリテーション」事業は、経験豊かな専門職を配置した。

第5節 : 「選ばれる福祉」を目指して

公益的取り組みを積極推進

聖徳会は、地域の福祉ニーズなどの情報を収集・分析し、適切に事業を推進するなど「人と地域を支えるサービス」をつくることを追求していく。
社会福祉基礎構造改革を契機に「選ばれる福祉」を目指す聖徳会は、組織を動かす「運営」とより良い状態に保つ「管理」に加えて、明確な目的を掲げた戦略を実行する「新しい経営」への刷新を図っていく。歳月をかけて経営管理体制の強化のため理事会、評議員会、役員などの役割や権限・責任の範囲を明文化し、定款や各種規程の改正も進めてきたが、さらに着実な実行と合理化を実現するガバナンスの確立を目指した。

社会福祉法人の経営を「組織を継続し成長させること」と位置付ける聖徳会は、地域の住民が施設や事業を永続的に利用できる仕組みづくりを進めていく。地域で持続的に使命を果たすために利益を確保しつつ、積極的に地域福祉の拠点や総合相談窓口としての役割・機能を果たすために、福祉サービスの質の向上、既存の制度では対応できない地域における公益的な取り組みを推進。また、信頼と協力を得る情報発信にも力を尽くし、聖徳会の理念や事業内容、公益的な取り組みとともに、ホームページで財務諸表を公開。これらの情報公開により透明性の高い経営を、内外に示した。

訪問リハビリテーションでは他法人への訪問診療も開始

地域福祉・包括ケアの拠点や総合相談窓口となる公益的な取り組みの推進により、地域の活性化やつながりの構築に向けて多様な福祉・生活課題に主体的に関わることで、行政を含む多様な関係機関や個人とも連携・協働する体制の整備につながる。「大阪しあわせネットワーク事業」「中間的就労事業」や低所得者に対する減免措置、無料低額診療などの長年の取り組みを継続するとともに、「はっするアカデミー」の開催を通じ地域の介護予防活動なども推進。地域の多様な援助ニーズを幅広くかつ迅速に把握し、解決に取り組んでいった。

    【主な公益的事業】

  • 各施設・事業所における低所得者等への減免措置等の実施
  • 「クリニックいわた」 における無料低額診療の実施
  • 大阪府社会福祉協議会社会貢献事業「大阪しあわせネットワーク」の実施
  • 生活困窮者に対する中間的就労事業の実施
  • 「大阪老人ホームうえだ」における配食サービス(安否確認)の実施
  • 法人所有地などの地域住民への貸し出し(グランドゴルフなど)
  • 地域住民の居場所づくりの推進(健康スタジオ、健康サークルなどの実施)
  • 「日本福祉大学と提携社会福祉法人による災害時の連携・支援」の実施
  • 地域住民の「福祉避難所」としての役割および合同災害訓練の実施

2017(平成29)年2月には、「大阪老人ホーム」「大阪老人ホームうえだ」の2施設が、松原市と「災害発生時における福祉避難所の指定および設置運営に関する協定」を締結する。また、公益的事業の取り組みである配食サービス、地域との共同消防訓練も継続し、消防訓練は毎年、定期的に実施。「有事」に備えて「平時」から、相互に信頼を深める関係づくりに努めている。

1
【1901 - 1924】明治34 - 大正13 悲願達成と発展への
基礎づくり
2
【1925 - 1944】大正14 - 昭和19 苦節の動乱期
3
【1945 - 1978】昭和20 - 昭和53 飛躍への土台づくり
4
【1979 - 2001】昭和54 - 平成13 高齢者福祉の
新時代到来
5
【2002 - 2006】平成14 - 平成18 100周年からさらなる
一歩を
6
【2007 - 2011】平成19 - 平成23 新たな伝統を創り出す
挑戦
7
【2012 - 2016】平成24 - 平成28 「21世紀型の社会福祉法人」として
8
【2017 - 2021】平成29 - 令和3 多様化・複雑化する福祉サービスにシナジーを発揮
未来
【2022 - ∞】令和4 - ∞ 120周年を節目に、
次なるステージへ
1

【1901 - 1924】
明治34 - 大正13

悲願達成と発展への基礎づくり

2

【1925 - 1944】
大正14 - 昭和19

苦節の動乱期

3

【1945 - 1978】
昭和20 - 昭和53

飛躍への土台づくり

4

【1979 - 2001】
昭和54 - 平成13

高齢者福祉の新時代到来

5

【2002 - 2006】
平成14 - 平成18

100周年からさらなる一歩を

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【2007 - 2011】
平成19 - 平成23

新たな伝統を創り出す挑戦

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【2012 - 2016】
平成24 - 平成28

「21世紀型の社会福祉法人」として

8

【2017 - 2021】
平成29 - 令和3

多様化・複雑化する福祉サービスに
シナジーを発揮

未来

【2022 - ∞】
令和4 - ∞

120周年を節目に、次なるステージへ

LEARNING FROM HISTORY, PONDERING TODAY, ENVISIONING TOMORROW.